登場人物紹介

 ・ オーフェン
 ・ アザリー
 ・ レティシャ・マクレディ
 ・ クリーオウ
 ・ マジク
 ・ ボルカン&ドーチン
 ・ フォルテ・パッキンガム
 ・ ハーティア
 ・ チャイルドマン
 ・ コルゴン&コミクロン
 ・ バグアップ
 ・ ステファニー
 ・ ヒリエッタ
 ・ コーゼン・ウァイセツ
 ・ サルア・ソリュード
 ・ フィエナ
 ・ パトリシア
 ・ ティフィス
 ・ ウオール・カーレン
 ・ ハイドラント
 ・ ヴィンビ・ストットアウル
 ・ スエイン
 ・ エバーラスティン家
 ・ チャイルドマン教室
 ・ ラポワント・ソリュード

 

 

 オーフェン(キリランシェロ)

  容姿

    二十歳そこそこの、やや拗ねたような顔立ちの黒瞳、黒髪の若者。中肉中背。
    目つきが険しい──というより、全体の雰囲気そのものが、どこか皮肉げなのだろうか。
    黒魔術士らしく、いつも黒いズボンに黒いTシャツ、黒い皮ジャンの袖をまくっている。
    また、剣にドラゴンが絡み付いた形のペンダント、《牙の塔》の紋章をいつも身に付けている。
  性格

    キリランシェロを名乗っていたときには、素直な少年だったように見受けられるが、現在は弟子のマジクや地人のボルカン、ドーチ
    ンをどつき回す毎日。
    後者が本質か、はたまた最愛の姉アザリーを失った事により精神安定を失った現状がなせる技なのかは分からないが、心根は優
    しい人間であるようには思う。(が、時に自信がなくなる)
    ヒリエッタ曰く、「人を殺せない殺戮者」
    都会育ち
  生い立ち/歴史

    フェンリルの森の南、レインダストの近くに、生まれる。
    《塔》の記録によると、両親とも魔術士だったらしい。(ふたりとも旅先で事故死)
    このころから、アザリー、レティシャとは姉弟のように育つ。
    六歳で《牙の塔》のウオール・カーレンに魔術士としての才能を見いだされ、《塔》へ。
    十歳でチャイルドマン教室に七番目の生徒として入り、同教師より暗殺術を学ぶ。
    若干十五歳にして、サクセサー・オブ・レザー・エッジ“鋼の後継”としての名声は王都メベレンストにまで届いた。
    最年少で《十三使徒》へのスカウトもされたが、《塔》よりの使者を傷害、審問は取り消し。
    五年前、アザリーの死と共に《塔》を失踪。
    以後、アレンハタムなどを経てトトカンタへ。
    非合法の金貸しをしながら、ボルカン、ドーチンを追いかけ回す毎日を過ごす。
    現在は、ボルカンを追いながら(?)北上中。
    トトカンタのオストワルドによるデータ
       家名無し。推定二十歳前後。未婚。二親を含めた、すべての身寄りは存在せず……どこかの街に住民登録もしていない。
       《牙の塔》出身との情報もあるが、大陸魔術士同盟ではそれを否定しているし、実際《塔》の出身者名簿の中にはオーフェン
       という名前は存在しない。無職。ただし、非合法の金融業を営む。
    塔の6巻当初の《塔》における記録
       キリランシェロ──二十歳。チャイルドマン教室ナンバー七。チャイルドマン教師に師事。十五歳二か月で上級魔術士の資
       格を得る。五年前より極秘の《塔》外任務。身元引受人は同教室のレティシャ・マクレディ。
    現在は《塔》を追放の身。
  技能/特徴

    オーフェンは、黒魔術士として天才的な魔術の勘のようなものを持っていた。大陸最高の黒魔術士、そして暗殺者でもあったチャ
    イルドマンから、すべての戦闘技術と暗殺術を教え込まれた、唯一の生徒。それに並び、徹底した精神制御(マインドセット)の訓
    練を施される。
    大陸西部では、現在最強クラスの魔術士。なお、現在行方不明(実は死亡)のチャイルドマン、数年前に急死した(実は生存)“天
    魔の魔女”アザリーは、彼よりも強力な魔術士。
    今現在は五年のブランクにより、かなり腕は落ちているらしいが、アザリーなどの手により、昔の勘を取り戻しつつある。
    チャイルドマンが、かつて近接戦闘の切り札にしていた“寸打”の技術など、格闘シーンになると、最近では別人である。
    単純な魔術の強さでは、彼を上回るような人間も《塔》ともなると幾人も存在するらしい。
  名言集

    vol.4/p250
    「俺はキリランシェロだ──俺に殺せないものはないんだ! チャイルドマンが、そう約束した──やめないと、お前らを殺すぞ!」
    vol.5/p47
    「なんだって、こんな馬鹿なことをしでかしたんだ」
     鼻息をあららげて、レンジャーはいらだたしげにそう言った。オーフェンはなんとなく、子供のころ野良犬と取っ組み合いして七
    針縫ったとき、医者に同じせりふで怒られたのを思い出した。
     そのときは、確か人のせいにしたのだと思う。だが今回は、もう少しマシな言い訳を用意できそうだった。オーフェンはよく分から
    ない心持ちでポツリと答えた。
    「なんだか……人生がうまくいってないみたいなんです」
    vol.5/p211
    「奴は今さら現れた。ティッシは今さら愚痴ってる。俺は今さら、この街に帰ってきた。俺は今さら、迷ってる……」
    vol.5/p211
    「いきなり現れた奴が本物なのか、それとも俺が本物なのか……でも多分、奴のほうだろうな、本物の『キリランシェロ』は」
    「俺は偽者だから、オーフェンさ。トトカンタでモグリの金貸しをやって、借金を買えさないくそダヌキどもを追いかけ回している、落
    ちこぼれの黒魔術士だ」
    vol.6/p270
    (サクセサー・オブ・レザー・エッジ“鋼の後継”……)
    (俺が、自分より強大な敵と渡り合うための、唯一の武器──)
    (俺の“過去(ウルズ)”! 過去の感覚──これがそうだ!)
    (俺がチャイルドマンから受け継いだ、ただひとつの技──!)
    (そして……たやすく人を殺し、たやすく俺を暗殺者(スタッバー)にする技だ……)
  その他

    言うまでもなく、本作品の主役。
    最愛の姉を殺すために育てられた暗殺者(スタッバー)。
    それは真実なのか? それとも、師には別の思惑が?
    ついに、その手で人の命を奪った彼は、その衝撃から立ち直ることができるのか?

 アザリー

  容姿

    少しくせのある黒髪に、ブラウンの瞳。
    身長は百七十ほど。
    しばしば、斜に構えたように笑っている。
    やや少女じみた面影が残っているが、愛嬌のある美人である。
    なお、現在の容姿は月の紋章(バルトアンデルス)の剣でオーフェンが作ったものなので、昔とは違う可能性もあるし、五年分サバ
    を読んでいる可能性もある。
  性格

    性格は派手。
    チャイルドマンが長剣よりもナイフや鋼線と言った武器を好んでいたのに対し、アザリーは逆に、例えば華々しい騎馬試合などを
    心底楽しんでいるようなところがあった。
  生い立ち/歴史

    幼い頃は孤児院で、幼児のオーフェンを世話していた。
    レティシアとは遠い親類らしい。アザリーの方が年下。
    彼らと同時なのか、否かははっきりとしないが、《牙の塔》へ入り、チャイルドマン教室へ入る。
    同教師より、沈黙魔術(ウィルド)の知識などを学ぶ。
    その実力は、天魔の魔女として、大陸中に響きわたる。
    五年前、沈黙魔術の失敗により《塔》を離れる。対外的には事故死したことになっている。逃亡中、白魔術の奥義によって、チャイ
    ルドマンと精神を入れ替わり、以後チャイルドマンを演じる。
    一巻において、チャイルドマンと再会、殺害し、オーフェンにより(おそらく)元の姿に戻る。
    現在は、オーフェンを導きつつキムラックへ向かう。
  技能/特徴

    行動技術、知識、そういったものも人よりずば抜けているが、なにより卓越しているのが魔術だ。
    彼女は白魔術士でもある。ちなみに、黒魔術と白魔術を同時に扱う術者というのは、歴史上に何人も存在はしない。
    アザリーは黒魔術士であったということが隠れ蓑になって、貴族連盟の情報網からうまく漏れ、貴族連盟の管理を逃れている。
    チャイルドマン教師からは、沈黙魔術(ウィルド)の知識及び、チャイルドマンが遺跡から発掘し、いずこかに隠した天人(ノルニル)
    の遺品の所在と、その使用法を受け継ぐ。
    特にその魔術の力は強力で、チャイルドマン教室内でも最高の魔術を扱っていた。
  名言集

    vol.1/p224
    「いい男に育ったよ、お前は。いつか、わたしの後継者が現れるとしたら、それはお前だろうな」(チャイルドマンとして)
    vol.5/p289
    「実をいえば失敗ばかりよ。これは、わたしの先生の言ったことなんだけどね、ひとつの成功もひとつの失敗も、どちらも同じことな
    のよ。要は、その後にどう立ち回るかで、成功も無意味になるし、失敗も成功に転じるの。わたしはね、失敗を成功に変えるため
    に、努力しようと思ってるの……」
    「……わたしのお父様も、生きてるときにそんなこと言ってましたよ。それじゃあ──あの、がんばってくださいね」
    vol.8/p241 「自分で確かめなければならない。わたし自身が──力と命のすべてを賭けてでも」(伝説がある……三人の女神の
    神話。過去(ウルズ)と、現在(ヴェルザンディ)と未来(スクルド)の、運命の三女神(ウィールド・シスターズ)。三者は同じ女神なのに、
    互いが出会うことは決してない……過去は現在と未来の存在を知らないし、未来は断絶されている。現在だけが、過去を知り、未
    来を信じているけれど、なにもできずに檻の中に閉じ込められている──)
    「閉じ込められてなんていない」
    「現在(ヴェルザンディ)は、常に未来(スクルド)に出会おうと歩き続けている!」
  その他

    この作品の、もう一人の主人公。
    弟オーフェンを導き、キムラックへ潜入する。
    彼女の悲願、師の遺志を知ることはできるのだろうか。

 レティシャ・マクレディ

  容姿

    つややかな、ストレートのダークヘア。年齢は二十四、五というところ。
    どこか眠たそうな──だが鋭くもある──目つきをしている。
    「しゃれにもできないほどの、絵に描いたような美女」らしい。
  性格

    多少嫉妬深く、ヒステリーの気がある。
    また、兵士としては致命的なことに、臆病な性格である。
    ちなみに、《塔》の長老たちとつき合う方針も「逆らわない、近づかない、目に止まったりもしない」と堅実で、ある意味消極的だ。
    猫にトイレを仕付ける気苦労だけで二キロやせた、という繊細な面も持つ。
    良くも悪くも、女性らしい女性である。
    また、潔癖症で、自分では掃除もやらないくせに、行動すら、なにかきっちりと統制がとれていないと不機嫌になる。
    例えば、オーフェンが門限守らなかったら、次の日ちゃんと門限守って帰るまで、口をきいてくれなかったという。
  生い立ち/歴史

    幼い頃は孤児院で、幼児のオーフェンを世話していた。
    アザリーとは遠い親類らしい。レティシャの方が年上。
    彼らと同時なのか、否かははっきりとしないが、《牙の塔》へ入り、チャイルドマン教室へ入る。
    十八のときに首席を取って、上級魔術士として認められた。同教師より、兵士としての生き残るための戦闘術などを学ぶ。
    《塔》では死の絶叫(キーニング)のふたつ名を持つ。
    チャイルドマン教室長の役職をフォルテに譲った見返りに、居住権と家を手に入れた。
    現在、マクレディ教室を開き、ティフィスとパットを指導。
  技能/特徴

    チャイルドマン教室で、戦闘術と名のつくものを専門的に訓練されたのはオーフェンとレティシャ。
    そして防衛的に“受ける”戦い方を習ったのがレティシャである。魔術でさえ、彼女は防御する手段に長けている。
    そのせいか、彼女は、敵が何人であるか、どういった位置関係でこちらを捕捉しているのか、つまりは気配や殺気のようなものが
    『分かる』という。
    恐らくは経験や勘から、そういった人数や状況を推測するのだろう。
    魔術そのものの規模で言えば、チャイルドマン教室内でも、彼女に適う者はほとんどいない。
    もうこの世にいない彼女の妹──アザリーを別にすれば、コルゴンくらいなものだ。
    また、レティシャは昔から、興奮すると自意識抜きで魔術を発動することがある。
    もちろん、ごく弱い威力でだが。
    部外者には秘密になっているが、実は、彼女のふたつ名──死の絶叫(キーニング)も、このあたりが由来となっていた。
    ちなみに、酔いやすい。
  名言集

    vol.5/p180
    「わたしは……力なんていらないわ。わたしが欲しいのは、ただ普通に暮らせる場所なのよ」
    vol.6/p42
    「あんなものどーでもいい上に最高執行部のサインを十二人分も書き込んでもらわなくちゃなんないって代物なんだから。そのうえ
    提出先もよく分かんないし──きっといろんな部署を二十往復はさせられるわよ。わたしにやれっていうの!?」
    「ええい! だからって俺の首をしめるな!」
    「とりあえず《塔》には付き合ってやっから──だいたいそんなにめんどうなら、とっととやめちまえよ、ンな閑職!」
    「気楽に言ってくれるわね……」
    「あなたが寝泊まりしてるこの屋敷も、遠慮のかけらもなく食べ散らかしてくれてる食事も、その『閑職』とやらで稼いだお金で買った
    ものなんですからね」
    「ほほう。しばらくそのご尊顔から離れて暮らしているうちに、おねーさまはお金の亡者におなりになられましたか」
    「かわいーことを言っておくれだわねぇ。昔はいじめっ子に切れたトカゲのしっぽを鼻にねじ込まれて泣いて帰ってきたくせに」
    「ちなみにそのいじめっ子とやらは、誕生パーティーでおねーさまにカエルの卵をぶっかけられた恨みでもって俺を狙ってくれた
    んだけどなぁ」
    「あの変態野郎が逆恨みしたことなんてわたしの責任じゃないわよねぇ。そんなことで責めてもらって、あなたのひがみ根性って、わ
    たしの教育の賜物かしら。わたし卒倒しそーだわ」
    「卒倒すんなら後頭部から落っこちろよ──顔面からぶつかったら床にひびが入るぜ、その面の皮じゃあよ」
    vol.6/p137
    (関係ない。あの屋敷はわたしの家よ。あそこだけがわたしの平穏なのよ。それだけは……わたしが守らなくちゃならない)
    vol.6/p156
    「いつの間にか、《塔》からみんないなくなっちゃったわ。みんなね……」
     言いながら、手が震える。
    「わたしを気遣ってくれるんならね、お願い──もう馬鹿なことはしないで。ひとりで暗殺者と戦ったり、《塔》を出ていったり……」
    「…………」
     彼は、答えてこない。ふと──浮かべた笑みが、力を失ってゆるむのを感じる。
    「もうわたしを……この街でひとりにしないで……」
     レティシャはつぶやきながら、彼の胸に当てた手に、額を押しつけた。
     彼にもたれかかりながら、彼女は、しばらく涙ぐんでいた──泣き出すほどには弱くはなかったとしても。
  その他

    チャイルドマン教室で、最も普通の人なのではないだろうか。
    彼女の望みは、ただ家族と一緒に暮らすことだけ。
    それさえも、叶うことなく、またオーフェンは《牙の塔》を去る。
    残された彼女は、また彼らを待ちながら生きていくのだろうか?

 クリーオウ・エバーラスティン

  容姿

    数代前の祖先に没落貴族の血が混じっていたことがあるとかで、その特徴が濃い。
    陽に映える金髪を腰まで伸ばし、空の色を映したようなブルーの双眸を持つ。
    ほっそりした身体付きと、何日も日差しの下で過ごそうが日焼けしない肌。
    イミテーションの宝石みたいに焦点の定まらない瞳。
    器用そうで繊細な指は、明らかに農耕を知らない貴族のものだ。
  性格

    生きるエネルギーを無意味に『元気さ』につぎ込みまくっている。
    いつもいつも感情一直線で、すねれば何日かは口を利かないし、怒れば容赦なく殴りかかってくる。
    オーフェン曰く、「じゃじゃ馬、我がまま、世間知らず、刃物無しにはベッドに入れない猟奇娘」
    いつもいつも直感は鋭いが分析はズレている。
    なにかを怖がるということがない。
  生い立ち/歴史

    商家エバーラスティン家の末娘である。
    父はエキントラ、母はティシティニー、姉はマリアベル。
    姉と同じ学校は嫌だと、下町の学校へ。所属クラブは戦争クラブ。
    マジクとは学年は違うが、同じクラス。
    卒業検定にはとっくに受かっていると言う。
    現在17歳。
    オーフェンの借金の取り立てにくっついて旅している。
    フェンリルの森で、ディープドラゴンのレキを手にする。
  技能/特徴

    子供のころは病弱で、昔からあざなどもなかなか消えない。
    「こー見えても、階段から落ちたときについた額のあざが半年ほど消えなくて、修道院に入ろうか、とか本気で考えたこともあるの
    よ!」と語る。
    ベビーシッターのバイトをやってたこともあり、家事はプロフェッショナル。
    ただし、故意にその腕を出さずに日常を過ごしているように見える。
    細かいことが好きなのか、ジャケットの左胸に印章を刺しゅうしたりもする。
    得意技に一撃必殺シチュー、百戦百勝ミートローフがある。
    黒い悪魔、レキを自在に用い、マジクやオーフェンを意のままに操る。
  名言集

    vol.2/p181
    「ロープで縛り上げておいて、スイカ? 野良犬の餌ですって? 人をこんなメにあわせて──ただですむと思ったら大間違い
    よ! 暴れ牛に引きずらせて市内一周させてやるわ! そうでなきゃ──ペンチで手の爪ひっこぬいてやるんだから!」
    「っても──いくらわたしでも、正面からやりあったんじゃ、あの格闘オタクに敵うわきゃないわよね──でも、奇襲の方法なんてい
    くらでもあるんだから。ベッドの中に画ビョウ入れとくとか、窓の上から熱湯かけるとか」
    「寝ている間に靴の中にブタの血入れちゃうとか、寝顔に落書きしちゃうってのもいいわよね──オーフェンが朝使うタオルにレモ
    ンの汁染み込ませておくってテもあるわ。彼が下を歩いているときに窓ガラス割っちゃうってのも効果的よね。もっと単純に、隙を
    見て階段から突き落としたっていいんだから」
    「そうね。どれが一番効果的か、いつも見たいにマジクで試してみるといいかもね」
    vol.4/p201
    「重要よ。いわれなき中傷に対しては断固戦わなければならないわ。わたし、オーフェンに乱暴癖直せって言われたときには、ちょ
    っと真剣に怒ったもの」
    「タバコをやめらんない人たちがサークルを作って、お互いに煙害を訴えあって禁煙するって言う療法があるらしいですけど……」
    vol.6/p180
    「なんでわたしがそんなめんどくさいことすんのよ」
    「なんでって……人情とか……」
    「え?──わたし、ケガしてから貧血気味で気分悪いんだから、わけの分かんないこと言わないでよ」
    「わけ……分からないんですか?……だって人情ですよ……?」
  その他

    刃物を手にしたき○がい。
    ともすればシリアスになりがちなこの作品に、(茶化さずに)明るさをもたらしてくれる人物。
    彼女の望みは、オーフェンに認められることなのだろうか?

 マジク

  容姿

    どちらかといえば少女じみた面影の、紅顔の美少年である。
    日焼けしていない滑らかな肌からなる輪郭は、怒っていてもなお愛嬌がある。
    年齢は十四くらい、短いくせに風にもたなびく金髪は、純粋に色が違うだけではなく、髪質が細いせいで金色に見えるのだろう。
    澄んだ碧眼は、まるでわざと隙を見せているように目元がおっとりとしている。
    黒を基調にした黒魔術士の格好が似合う手合いではないのだが、しばしば彼はそれを着込んでいる。
    翠色の瞳ということで、ドラゴンの血が濃いことの証明ではないだろうか?
    vol.5/p223では、グリーンの瞳、と表記されている。
  性格

    すけこまし。
    また、少年らしい独立願望からか、オーフェンに憧れている節がある。
    そう言っても、本人は否定するだろうが。
    いじめられやすい?
  生い立ち/歴史

    トトカンタで宿屋を営むバグアップの息子。
    母親は暗黒街の女王と呼ばれたアイリス・リンと名乗っていた女盗賊らしい。
    マジクとクリ−オウは学年が違うが、同じ教室で学んでいた。
    クリーオウには、昔からいじめられていたらしい。
    実例(vol.3/P76)
       「あの子なら大丈夫よ。前に、わたしが体育倉庫に閉じ込めたままうっかり忘れて家に帰っちゃって、そのまま連休に突入し
       たときも生き延びてたもの。ボールの綿をかじって飢えしのいでたんだって」
    現在14歳と半年。
  技能/特徴

    まだまだ駆け出しの魔術士見習い。
    だが、その魔力の強さは殺人人形や《塔》の目を見張らせるほど。
    また、その容姿を生かして、ジゴロの才能もちらつかせている。
    が、こちらは本人が思っているほどうまく行ってはいないようだが。
  名言集

    vol.2/p133
    「ま、まあ、ケガだらけであの有り様ですから──でも、なかなかきれいなひとですよね。部屋もけっこう片付いてましたし。戸棚に
    入ってたケーキは手作りだったみたいですけど、ちょっと小麦粉が多すぎる感じでした──それともあれは、卵をケチったのか
    な? ぼくの母さんは昔、生クリームを使うとうまくいくんだって言ってました。半日もすると傷んで食べられなくなりますけどね。バ
    スルームを調べられなかったのは残念ですが、脱衣所にあった化粧品からすれば、どちらかと言えば派手好みではないようで
    す。魔術士ということで少なくとも身元ははっきりしてますし、それと家計簿をのぞいたところ、貯金もかなりしてるみたいです。狙い
    目ですね」
    vol.5/p247
    (なんにも知らなくて、魔術も半人前にしか使えない……みんなを助けなくちゃならないのに、本音はあの暗殺者を怖がってる)
    (ぼくだけが、本当に足手まといなんだ……多分)
    vol.6/p232
    (消し──飛べ──本なんか焼けちまってもいいんだ──お師様の信頼だけは裏切れない──!)
  その他

    最初はなんでいるのか分からなかった彼も、ようやくレギュラーらしい心の葛藤を見せはじめた。
    姉の消失を受け入れられずに自分の家を去ったキリランシェロと、現状に満足できなくなって家をでたマジク。
    この二人が、なぜかだぶって見えるのは、私だけだろうか。
    しかし、彼の本名がマジック……だったとは……。そりゃ、お母さんはアイリス・リンだったけどさ……。

 ボルカン&ドーチン

  容姿

    ボルカンは、身長百三十センチほどのやや小太りの印象を受ける少年。体格の小さい地人たちの基準では、まあ普通の大きさ
    だ。
    旅塵にまみれた格好は薄汚れており、黒い髪もいつも洗った気配がなく、ぼさぼさになっている。
    いつも地人の民族衣装である毛皮のマントをまとい、肉厚の長剣を身に付けている。
    目は真ん丸で、ブラウンというよりは薄い黒といった色の瞳孔が大半を占めている。
    ドーチンはボルカンよりも一回り小さく、度の強い眼鏡をしている。
    いつも馬鹿でかい皮のザックを持ち歩き、中には故郷から持ってきた本が入っている。
    服装などはおおむね兄と変わらず。
  性格

    強いものには媚びへつらい、弱いものにはとことん強気。
    もっとも、ドーチン以外に彼より弱いものなどほとんど存在しないが。
    あまりにはまっていて、憎めないキャラクター。
    弟の方も、常識人なようでいて、かなり打算的。
    隙あらば、兄を見捨て、保身を図る。
    それでも、兄から逃げ出さないのは、こんな彼らにも兄弟愛があるからだろうか?
    それだけはない気がするが。
  生い立ち/歴史

    ボルカンは、年齢は十八歳くらい。
    兄弟ともに南方の地人領マスマテュリアからやってきた。
    ドーチンは、ボルカンが誘拐同然に連れてきたらしい。
  技能/特徴

    頑丈。
  名言集

    殺すぞシリーズ
    vol.6/p45
    「帰ってきたときに驚愕するがいい。そして、あえて最大の苦難を見落としていた己の安逸を悔やむがいい。輪廻は回る糸
    車……」
  その他

    この作品のギャグメーカー。
    彼らがいるだけで、お笑いになってしまう。
    そのせいか、最近は出番少なし。無謀編でさえも……。

 フォルテ・パッキンガム

  容姿

    長身のがっしりした男で、厳しい顔をしているため多少老けて見える。
    黒髪を少し長めにしてうなじで縛っているのは師チャイルドマンと同じだし、なにを言っても動じない鉄面皮も同様だ。
    落ち着いた黒い双眸には光沢がない。
    上下の唇を話すことも少なく、そもそも言葉少ななその男は、教師代理のローブをまとっている。
  性格

    彼は、いらないことは言わない人間で、唐突な男。
    オーフェン曰く、「あんた、絶対こっそり採点してるもんな。間違ってて減点でもされたら気分悪いじゃねえか」
    彼は、自制心に欠けている。チャイルドマン・ネットワークによってもたらされる膨大な情報量を捌くには絶対に必要な、冷静さが
    ない。
    うわべは落ち着いたふうを装っていても、目の前にケーキが出されたときに我慢できない子供のようなものだ。
    例えば、自分の力量も省みず(アザリーほどの魔力も、キリランシェロほどの決戦能力も、さらには同教室の仲間の助けすらないと
    いうのに)、《塔》を牛耳ろうと行動を起こしてしまっている。
    なお、合理主義者である。
  生い立ち/歴史

    生まれは今の所不明。
    世代はアザリー、レティシャと同じ。
    最年長の生徒、また、教室長としてとして、チャイルドマン教室に入る。
    成績は、レティシャやアザリーにいつも押さえられていた。
    が、一番早くチャイルドマンの助手になり、その時に上級魔術士となる。
    そして、現在は教師代理の地位にあり、《塔》の掌握を目指す。
    年齢は、二十代の中盤。
  技能/特徴

    魔術の腕前は、(マジクの感想によると)オーフェンよりも上らしい。
    師より、チャイルドマン・ネットワークと呼ばれる特殊な情報網の管理を受け継ぐ。
    ティッシとの会話から予想すると、彼は心が読めるらしい。
    それとも、それこそがチャイルドマン・ネットワークの力なのだろうか?
    《十三使徒》の見習いが王都を一歩出て花を摘んだだけでも、それを発見できるほど、四六時中、王都を監視しているらしい。
  名言集

    vol.5/p10
    「そう簡単に人の心を読むのはやめたほうがいいって、何度言ったかしら」
    「身につけた能力(タレント)は活用すべきだ」
    「それができなければ?」
    「君が今考えたことが、わたしの答えだ。そう……彼のようになる」
    「過ぎた能力が身を滅ぼすってこと、考えたことはない?」
    「我々のことを言っているのかね? それは魔術の存在を根本から否定することにならないかな」
    「ならないわよ。訓練の意味っていうものを、わたしは分かってる。強力な魔術を制御するために、わたしたちは死ぬことだって覚
    悟してこの《塔》で訓練を受けたのよ。魔術を制するためにね。増大させるためじゃないわ」
    「だが結果として、君の魔術は強大になっただろう、ティッシ──死の絶叫(キーニング)と呼ばれるほどに」
    「その、ふたつ名ってやつ、やめられないのかしら──楽屋で芸の見せっこしてるみたいで、みっともないって思わない?」
    「効果があるのならば、虚勢も必要だ、ティッシ──」
    vol.6/p286
    「それまでいっしょにいた人間が、ある日いなくなるというのは寂しいものだよ。我々の……ようにな。奴が、君にいて欲しくないと言
    ったわけではないのだろう? だったら、それを君が勝手に決断するのは、お節介というものだ」
  その他

    チャイルドマン教室、教室長。
    5巻のレティシャの台詞からの印象では、嫌な奴かと思っていたら、6巻まで読んだらレティシャの方が突っ張ってただけのように見
    えた。
    チャイルドマンネットワークの謎は、どのようにして明かされるのか。

 ハーティア

  容姿

    赤毛で、顔つきは陽気そうで少し軽い感じ。
    背格好は中肉中背。
    魅力的な眉と、髭の生えそうにない、のっぺりとした細いあご、そばかすの跡がうっすらと残るほおを持つ。
  性格

    軽い性格。
    顕示欲が強いところがある。
    それに、派手好き。
  生い立ち/歴史

    詳細は不明。
    キリランシェロと同世代、若干年上らしい。
    キリランシェロと同じ頃《塔》のチャイルドマン教室にあがる。
    同教師はチャイルドマン・ネットワークの補佐の技術を修得させる。
    成績はキリランシェロに次いで常に次席をキープしていたらしい。
    が、彼が出奔した後、成績は下がっていった。
    現在、トトカンタの魔術士同盟支部に勤める。
    本人の言に依れば、この程度の職場でも、ぎりぎりだったらしい。
  技能/特徴

    チャイルドマンより習ったのは、チャイルドマン・ネットワークの補佐の技術。
    だが、補佐ではいられない顕示欲の強さを持っており、しかも今はトトカンタに務めている。(もっとも、ネットワークの実状が明らか
    になっていない以上、それが今現在ネットワークの補佐をできないという証拠になりはしないが)
    魔術の腕自体はキリランシェロよりも上。
    だが、戦闘技術などは、彼に言わせれば「ぼくは、殴り合いみたいな野蛮なことはお前に任せてるんだ」とのこと。
  名言集

    vol.1/p96
    「わたしは闇に生きる暗殺者! 夜と契約し、昼には顔を隠し生き延びる、恐怖と悪夢の具現! 夢魔の貴族(ナイトメア・ブラッ
    ド)、ブラックタイガー!」
    「な、なんだって?」
    「知っているのか?」
    「うん。多分──ブラックタイガーって──」
    《中略》
    「ドーチン、奴は何者なんだ!」
    「多分、……ブラックタイガーって海老の名前じゃなかったかな」
  その他

    キリランシェロの親友。チャイルドマン教室(恐らく)ナンバー6。
    もう一度登場して貰いたい人物ではある。もっとも、無謀編の書き下ろしでは結構登場して、読者の同情も買っているようだが。

 チャイルドマン・パウダーフィールド

  容姿

    頑強な身体に強烈な意思を持った双眸は、彼を隙のない戦士に見せた。黒髪を背中まで伸ばし、うなじのあたりで紐で束ねてい
    るが、これはどちらかというと、単に切らなかったから伸びただけ、といった感じだった。
    チャイルドマンは決して美男子ではなかった──が、いつも崩さない冷静な面持ちと、厳格な規律に捧げる献身の精神とで、いつ
    もなにかの教祖じみた魅力を発散していた。
  性格

    チャイルドマンは、組織に忠誠を誓っている。(本人−アザリー談)
    動揺の色をかけらも見せたことのなかった冷徹な男。
    長剣よりもナイフや鋼線と言った武器を好んでいた。
  生い立ち/歴史

    《牙の塔》に来る前は暗殺者だったらしい。
    当時は、エキントラ・エバーラスティンの友人で、彼に暗殺者として雇われたこともある。
    《塔》に来てからは《塔》最強の魔術士として君臨し、また《塔》の支えとなっていた。
    アザリーの手にかかり、死亡。
    その正体は、シスター・イスターシバの「子供」であり、天人たちの滅びる直前の時代、「火薬の庭」より、聖域と渡り合う戦士を育て
    るために、シスター・イスターシバの魔術により二百年の時間を超えて送り込まれた、当時最高の魔術士であった。
  技能/特徴

    大陸最強の黒魔術士──人間に考えられ得る、最高の能力(タレント)を有していた男。
    あらゆる分野に秀で、エリートぞろいのチャイルドマン教室の生徒たちをもってしても、誰ひとりとして、師である彼には追いつけな
    かった。
    暗殺技能者としては、例えば“寸打”という近接戦闘の切り札を持ち、魔術士としては転移の魔術など、彼(とその生徒)のみが持つ
    力、技能は数しれない。
  名言集

    vol.3/p180
    「……実力において、どう逆立ちしても適わない相手と戦わなければならないとき──さらにそいつらにどうしても勝ちたいときは、
    どうすればいいと思う? キリランシェロ」
    「イカサマするのさ」
    vol.5/p154
     いわく、動揺を打ち消すには、あえて最も直面している過酷な状況へと注意をもどすのだという。
    『……それでお前に余裕があれば、自然と心が真剣に落ち着く。そういったことが必要とされている状況で余裕がないのなら、別
    にそれまでだ。少なくとも、後のことは心配しなくてもいい』
     むちゃな理屈──というよりも、理屈にすらなっていないのだが、それも、
    『精神というのは物理的に存在しない事象の総称だ。それを、白魔術士でもないお前が制御してみせようというのだ。必要なのは
    理屈ではないだろう』
    vol.5/p177
    「それよりなにより、分からないのは、先生よ! チャイルドマン・パウダーフィールド教師! 彼が失踪してから二か月以上が経つ
    のよ──フォルテですら、彼の所在を突き止められない。まあ、私たちが……」
    「先生に適わないのは、よく知っていたつもりだったけど。彼が本気で足取りを隠そうと思っているなら、二か月が二十年になった
    ところで、わたしたちには発見できないんでしょうね……」
    vol.5/p228
    『人と戦うときには、敵を越えようなどとは思わないことだ──それでは自分よりも強い敵に出会ったときにひとたまりもない。それよ
    りも、敵の弱点を見つけるのだよ』
    『弱点を見つけたら、後は実行を恐れないことだ。それがなんであれ、たったひとつでも弱点があるのならば、打つ手は無限にあ
    る──』
  その他

    オーフェンの師であり、あらゆる面で最高の能力を示す彼。
    優秀すぎた師は、すでに亡い。
    永遠の子供である彼に与えられた命題、それは「後継者を育てること」だった。
    後継者は誰だ?

 コルゴン&コミクロン

  容姿

    コルゴンに関しては描写なし。
    コミクロン17歳の時点での容姿は、少年と言ってもよく、背丈は当時のキリランシェロより数センチ下だった。男なのだがなぜか三
    つ編みを二本お下げにしている。
    また、黒のローブの上に白衣を着込むという異様な格好を好んだようだ。
    主にコミクロンのために「せめて外に出る時には襟くらいは正すべし」と全員のカンパで扉に姿見を据えつけるなど、彼の服装の
    特殊さはチャイルドマン教室にあっても目立っていたようだ。
  性格

    コミクロンの17歳の時の性格は、いわゆるマッドサイエンティストに近いが、実際の技術力はまったく伴っていなかったようだ。
    奇妙な発想と勘違いした情熱の上に築かれる彼の作品群は、人造人間n号と呼ばれ、キリランシェロをある意味苦しめる。
    人造生命の創造が目的のようだ。だが、「歯車様の罰があたるからなっ!」と言ったせりふもあり、これらは彼の中では矛盾しない
    ようだ。
    ちなみに彼はよく含み笑いをするのだが、レティシャ相手の時には彼の含み笑いは『ふっふっ』ではなく『はっはっ』になる。
    コルゴンは特に描写はないが、コミクロンの死にショックを受け、《塔》を出たというところから、二人のつきあいは深かったことがう
    かがわれる。
  生い立ち/歴史

    二人とも同じ世代の魔術士で、オーフェン、ハーティアよりも上で、アザリー、レティシャ、フォルテよりも下の世代。
    コミクロンとコルゴンは俺らよりひとつ上の世代で首席とを次席を分けあっていた。
    なお、コルゴンは主席をとって上級魔術士の資格を得る。
    コミクロンはずっと次席にいたせいで上級魔術士にはなってない。
    チャイルドマンが彼らに何を教えていたかは不明。
    コミクロンはトトカンタで、アザリー(チャイルドマン)の手に掛かり、死亡。
    そのショックから、コルゴンも《塔》を出る。
    年齢に関しては、コミクロンはキリランシェロ達より2つ年上であることが分かった。おそらくコルゴンも二十代の前半のはずだが、
    魔術士における“世代”は《塔》での修学期間によって決められていると思えるので、正確なところは分からない。
  技能/特徴

    コミクロンは医療技術を専門にしていたらしい。
    魔術での治癒に対して、「こういったことに関しては、コミクロンの魔術は飛び抜けている」らしいので、魔術もこういったことを得意
    としていたようだ。
    彼の魔術は「コンビネーション2−7−5!」といったものが多いのだろう。
    コルゴンは“ナイトノッカー”の二つ名で呼ばれていたが、何を修得したかは不明。
    おそらく、コミクロンの医療技術はチャイルドマンから教えられたものだろう。
    成績はいつもコルゴンの方が良かったらしい。実際、アザリーを除くとティッシに匹敵するレベルで教室トップクラスだったらしい。
    アザリーによると、チャイルドマンの強さを受け継いでいるはずだと言う。「五年前(アザリーが塔から出た時)ですら、彼は完璧だっ
    たわ」
  名言集

    mVol.4/p230
    「お前がそーゆう奴だとは思わなかった! 見損なったぞ! 人造人間兵器を始めとする、人造生命の創造という崇高な理想を
    掲げたこの俺に、真っ向から立ち向かおうと言うのだな! なかなかやるじゃないか!」(コミクロン)
  その他

    顔も出さずに死んで、オーフェンにさえ気づいてもらえなかったコミクロン。
    ショックから《塔》を出、登場すらしていないコルゴン。
    謎だらけである。
    しかし、謎の一つは解けた。もう一つの謎は解けるのか?

 バグアップ

  容姿

    海賊のような顔立ちをしている。
    が、やけに声だけは優しく好々爺とした雰囲気を持っているらしい。
  性格

    あまり、性格を見せるような描写はないが、少なくとも宿で騒ぎを起こされたりしても、落ち着いていられるおおらかな性格をしてい
    るようではある。
    もっとも、ちゃんとオーフェンが直しているからかもしれないが。
  生い立ち/歴史

    昔は、ちょっとは知られた盗賊で──暗黒街の女王なんて呼ばれた女と駆け落ちした。
    ちなみに、その妻はアイリス・リンと名乗っていた女盗賊で、彼女は昔、魔術士にスカウトされかかったという。
    もう足は洗ったが、今でも趣味で情報収集などをやっている。
    現在は、トトカンタ市でバグアップズ・インと呼ばれる寂れた安宿を経営している。
    が、オーフェンは客が来たのを見たことがないというので、実は何か副業を持っている可能性もある。
    ちなみに、複雑に入り組んだ商都の裏路地にあるこの宿は、いつもきちんと手入れされており、えらく古い建物だということを別に
    すれば、悪い宿ではない、そうだ。
  技能/特徴

    なかなかその真相を見せないが、ボルカンがいじめられようが、コギーが泣き出そうが、動じないところを見ると、結構大人物かもし
    れない。
    どうやって生計を立てているのか、不思議であるが、ボニーをアルバイトに雇ったりしている以上、なんらかの収入はあるのだろう。
    まあ、このあたり、作者もノリで書いている節があり、あまりつっこむのも野暮というものだろう。
  名言集

    vol.1/p20
    「力ある魔術士の条件がなにか、知ってるか?」
    「さあな。処女から生まれるってことか? なら言っとくが、あれの母親は──」
    「純粋で真摯な情熱、それが力ある魔術士の条件だよ」
    「だったら、あんたが力ある魔術士なわけがないな」
  その他

    本編では1巻のみの登場のため、あまり真相は明らかではないが、無謀編の方ではいい味を出している。
    今では、トトカンタ市で、結構寂しがってるような気もする。

 ステファニー(ステフェン)

  容姿

    黒髪を腰まで伸ばした二十歳くらいの若い女。外見上は
    眼鏡を掛けており、客観的に見ても美女の部類に入るらしい。
    が、その外見は「あのあとちゃんと胸にラバー製のパットも埋め込んだし、髭とかも目立たないように薄い皮膜を貼りつけて、骨格も
    削って、○×☆も、ほどよく◇◎って感じに」改造した結果。
  性格

    まるで、普通の女のようである。
    アレンハタムに住む普通の魔術士のように臆病で、年齢相応の女性のように落ち着いた部分も見せたりする。
    部屋の様子や家計簿などからは、几帳面な性格のようである。
    が、断じて変な男だ。
  生い立ち/歴史

    アレンハタムより南の街で生まれたらしい。
    どういった経緯でか、アレンハタムへ訪れる。
    3年前、街の人間から私刑にあい、「骨折二十四箇所。打撲、打ち身は無数。身体の皮膚の八割方は裂傷で修復不可能。顔面
    損傷──頭蓋骨陥没」という重傷を負う。
    その結果、医者の腕のせいで女顔に整形され、そのまま「ステファニー」として、アレンハタムの大陸魔術士同盟で遺跡の研究な
    どを行う。
  技能/特徴

    魔術士であるが、アレンハタムから中央へでることもできないことからも、あまり高い実力を持ってはいないことが分かる。
    自分の「肉体改造」のせいで、魔力が弱まっているらしい。
    一応、研究分野はアレンハタムの遺跡に見られる天人たちの遺産の研究のようだ。
  名言集

    p150
    「とぼけるなよ、ステフ──あれは魔術だ。しかも、人間のじゃない。もう俺をだまそうとするんじゃない」
     びくりとして、ステファニーが顔を上げる。
    「わたしは──わたしは、あなたをだましたことなんてないわ」
  その他

    オーフェンのトラウマの元になった人物。
    気弱な人物かと思ったら、結構肝の座ったところがあったので、これからも元気でやっていくのではなかろうか?
    一応、二度と登場しないはずなので、オーフェンも一安心?

 愚犬ヒリエッタ

  容姿

    二十四で、相応の年齢に見える。
    安っぽい娼婦のような痩せた顔に、鋭いナイフの傷痕のような鋭い双眸が輝いている。つややかな黒髪を腰まで伸ばし、それは
    身体にぴったりと吸い付くような黒革のボディスーツに溶け込むようだった。
    “家庭的”なモノとは相いれないタイプの、だがかなりの美女には違いなかった。
    声はハスキーである。
  性格

    狂乱したオーフェンの頭を、キスで冷やすなど、オーフェン相手にかなり余裕を見せていた。
    実は、初恋の相手との約束を守るために八年間を費やすほど情熱的な女性。
    昔はあてもなく家出をし、今は魔術士殺しのエキスパートになるなど、目的のためなら無茶なこともする。
  生い立ち/歴史

    アレンハタムとフェンリルの森の間にある、レインダストと呼ばれる小さな村で生まれる。
    十五の時に村を出て、キンクホールにたどり着く。
    そこでサミイと出会い、そのつてでフォノゴロスに世話になる。
    フォノゴロスにクリーチャーに改造させられようとするとき、サミイに助けられ、代わりにサミイがクリーチャーに改造された。
    サミイの最後のセリフ、『ぼくを殺してくれ』を遂行するため、魔術士殺しの専門家「愚犬ヒリエッタ」となり、八年の間サミイを殺せる
    魔術士を探し続ける。
  技能/特徴

    魔術士殺しの専門家と言えるほどなのだから、殺し屋としての腕は特級であるだろう。
    もっとも、その能力の大きな部分を、彼女をクリーチャーに改造した時のためにフォノゴロスが用意していた特殊なスーツに依って
    いる。
    オーフェンの魔術にも、外傷を負うことがなかった。ただし、衝撃まで防げるものではなく、全く無効ということもなかったようだが。
  名言集

    p234
    「わたしを馬鹿にしないでちょうだい──ねんねじゃないのよ。そりゃね、サミイのことは、わたしにとってはしょせんはただの──そ
    うね。初恋の思い出ってやつに過ぎないのよ。ただ、ちょっとばかり奇抜な方法で別離したってだけでね。この八年間で、ほかの
    男に惚れもしたわよ。でも、それでもわたしには、彼との約束を守る義務があると思ってるわ。《後略》」
  一言

    ついに、サミイとの約束を果たした彼女。
    今後は、愚犬になる必要もないわけだが、果たして?

 コーゼン・ウァイセツ

  容姿

    ぼさぼさの黒髪に隠れるようにして眠たげな眼差しをのぞかせている。
    実際の年齢はさほど高くはないのだろうが、見かけはそれより老けて見える。実年齢で三十少し前、見かけで四十過ぎというところ
    か。
    鼻は尖っていて目付きが鋭く、無精髭を伸ばした精悍な顔付きの男である。
    鉛色の鎖を仕込んだ魔術士用のスーツを着込んで、腰には細身の、片手用の軍刀を下げて登場した。
    無骨な手で、手の甲の傷痕がある。
    酒場の奥の暗がりにでもひっこめば、かなり渋く見えるのではないだろうかとは、ドーチンの感想である。
  性格

    普段は冷静沈着な暗殺者なのだろうが、作品に登場した際にはまわりの異常な状況に振り回されていたようで、かなり自制を失って
    いた。
    クリーオウに気があったようなので、意外にロリコンかも。
  生い立ち/歴史

    隻影のコーゼン、灰燼の傭兵、海岸に走る影、などと呼ばれていると語る。
    特に具体的な経歴は分からないが、元々魔術士になろうとしていたのだろう。
    「あの人、影が薄いもんだから世を拗ねて殺し屋になんかなったのかなあ」と言ったのはドーチン。
  技能/特徴

    自称、「その道じゃあ、ちょっとは知られた」殺し屋らしい。
    事実、魔術を扱うなど、特殊な能力を垣間見せる。
    だが魔力とイメージの構成からオーフェンの予想するには、さほどの腕を持った魔術士ではない。恐らく、修行半ばで挫折した手
    合いなのだろう。
    魔術に用いる呪文は極めて端的である。「開け」「消えろ」など。
  名言集

    Vol.3/p139
    「人を勝手に脇役扱いするんじゃないっ! 俺はその道じゃあ、ちょっとは知られた──」
    「ちょっとしか知られてないのね」
    「やかましいっ! 俺は灰燼の傭兵、海岸に走る影と恐れられた、コーゼン・ウァイセツ様だぞっ!」
    「これから人を拉致しようってときに、いちいち名乗るっていうのは……」
    「うるさいっ! 顔を見られれば同じことだ!」
  その他

    個人的に好きなキャラクターだった。
    再登場を望む気はないが、どこかでうまくやっていて欲しいものである。

 サルア・ソリュード

  容姿

    4巻では腰に長剣を下げて、ワッペンのないレンジャージャケットを着て登場。いつもにやにや笑いを浮かべた青年である。
    外見の年齢は、二十二、三(オーフェンの見立て)。
    『偉大なる心臓』村でも浮いていたようだ。
    9巻からは聖都キムラックで再登場。こちらは神官兵に標準的な神官服だった。
    意外と身長があり、ひょろりとした印象を与えるが、体格は標準的である。
  性格

    軽い性格で、まさしく破戒教師。およそ、教会のものとは思えない行動をする。
    マクドガルの計画決行前夜に女性を自分の寝室に連れ込んでいるし、子供の飴を取り上げる話も本音からやっている節がある。
    教師のくせに「人に説教をしていること」が嫌いで、説法の免許を取ったことを後悔しているらしい。これは本人いわく、「俺の兄貴
    がホンモノの説教屋だから、俺はああはなりたくねえんだよ」
    より正確には「実は説教好きな自分が嫌い」とでも言うべきか。
    その反面、フィエナには優しく接する一面も見せていた。
    キムラックでもマジクに説教をして、彼に大きな影響を与えていた。
    また魔術を便利な力だ、と評価しているところも、キムラックの教師としては異端であろう。
    どうやらメッチェン・アミックに気が在るようだが……。
    退屈するのが嫌いで、そのために教会に反旗を翻したというが、真偽のほどは?
    魔術士と真っ向から対立する教会の教義に反対であったことは事実なようだが。
    意外に(あるいは案の定?)、剣マニアらしい。
  生い立ち/歴史

    キムラックを故郷とする。
    ソリュード家は代々教師長の地位を受け継いでいる名家で、サルアは次男であるようだ。(ラポワントが「唯一の血の繋がった弟」と
    表現しているだけだが。) 死の教師となってからはオレイル・サリドンに剣技を学んだ。
    オーフェンのキムラック入りと同時にメッチェン・アミックと教会の教義を覆すために行動する。
    《詩聖の間》の事件が終わった後はメッチェン、オレイルと旅に出ているようだ。
  技能/特徴

    キムラックの死の教師。
    自身の独白によると、ガラスの剣の扱いに関しては強い自信を持っているらしい。
    メッチェンも「オレイルの眼鏡に適ったのも手ほどきを受けたのもサルアだけで、剣の腕だけならば彼に適うものはないだろう」と評
    価している。
    チャイルドマンが聖都に侵入した頃、元死の教師であるオレイルに師事したらしい。この頃、すでに彼は教師位を剥奪され聖都を
    追われていたはずだが、そのような罪人に師事した者でも死の教師になれるようだ。
    本人は大陸に主流の細身で鋭利な刃を持った剣ではなく、相手の身体を叩き砕くような剣を好んでいる。
    本人は嫌がっているが、説法の免許も持っている。
  名言集

    vol.4/p133
    「まるで俺がいじめてるみてえじゃねえか……くそ、この際だから全部言っちまうぞ。あのよ、危険から護って欲しいなら、いくらでも
    護ってやるよ。そのくらいは無料(タダ)でいいさ。幸せになりたいってんなら、それなりの代償を払えば──つまり、化粧したり媚び
    売ったり、なんやかやすれば、だまされやすい男はいくらでもいるんだ。だがよ、泣いてんのは、自力で泣きやまなけりゃ、どうしよ
    うもねえからな」
    vol.4/p192
    「ね、ねえ、あんた、どうして人が死んでるのよぉ」
    「気持ちのいい朝だからだよ。なあ、キリランシェロ?」
    「結果オーライだったから言うわけじゃねえけどよ。俺、裏切り者ってのは結構好きなんだ。じゃあな」
    Vol.9/p163
    「さっきも言ったが、考えてみるんだな──はっきり言って俺は、てめえら魔術士がなにかを考えてるところを見たことがねえ。俺ぁ
    別に、良き血がどうとか、呪いの血統だとか、魔術士の血筋なんてもんにさほど興味はねえんだよ」「……結局俺は、外の世界を
    見過ぎたんだろう。あの腐れ教主の言葉を借りればな。魔術士を絶滅させる、それがここの教義だが、俺は別にそんなもんを意気
    に感じて剣を取ったわけじゃねえ。退屈すんのが嫌だったからだ。考えることをしようともしない奴らってのは、見てて退屈なんだ
    よ。だから──ちったぁ、考えろ」
  その他

    飄々とした破戒教師。その言動は教師らしからぬ点も多く、後に明かされるキムラックの教義とも大きくずれる。
    それも当然で、彼は魔術士を絶滅させる教義を覆そうとしていたのだ。
    メッチェンや彼、そしてオレイル・サリドンたちは、結界が塞がり、クオがいなくなった、だが教主も教会も変わらないキムラックを後
    にした。
    これから彼らはどこへ行くのか。

 フィエナ

  容姿

    ウェーブのかかった黒髪、ブラウンの双眸をしている。
    まだ子供じみた手足は朴訥としていながら伸びやかで、農耕馬を連想させる。
    身長151センチ、チャームポイントは見えないところに隠しているそうな。
    意志の強そうな目をしているが、それをマジクは手負いの獣に喩えた。
  性格

    おとなしい性格。
    《偉大なる心臓》村では常に孤独であり、村人たちに対しては巫女の仮面をかぶってしか接していなかった。
    しかし、村人を守るために攻撃態勢のディープ・ドラゴンの眼前に立ちはだかるなど、意志の強い面もみせる。
    それすらも自分が弱いからだ、と語るが十分強いと思えるのはわたしだけか?
  生い立ち/歴史

    ソリチアン・ビレッジに生まれる。
    三年前に『強くなりなさい』『ひとりで生きていかなければならないのだから──』という遺言を残し、母親は他界。
    現在14歳。ちなみに山羊座のA型らしい。
    一度村の少年たちとの喧嘩で死亡するが、フェンリルの使い魔になることと引き換えに蘇生。
    《偉大なる心臓》村に訪れてマクドガルの持つ情報を探るが、失敗。
    その後、村を襲ったディープ・ドラゴンのリーダーであり、フィエナ自身を使役するアスラリエルと対峙。
    使い魔としての暗示を解かれる。
    4巻終了後は、ソリチアンに戻ったようだ。
  技能/特徴

    ディープ・ドラゴンの使い魔となったため、ドラゴン種族の魔術を扱える。
    が、もちろん、借り物の力をうまく扱えるはずもなく、もちろんドラゴン種族自身の扱う魔術に比べれば、あまりにも稚拙でたどたどし
    い。
    アスラリエルからある程度の情報を受け取ったようだが、さほど重要なことは伝わっていないようだ。
  名言集

    vol.4/p168 「サルアは、この村で唯一、わたしの友達でいてくれたんです。多分、ドラゴン信仰者でもない彼にしてみれば、わたし
    くらいしか話相手がいなかったんでしょうけど。でもわたし、とても嬉しかった──わたしには、誰もいないから……」
  その他

    作品初のヒロインらしいヒロイン(自称)。
    巻末の内容を信用するわけではないが、実はハイになるとすごい子なのかもしれない。
    足型付きサイン色紙、貰った人いないかな。

 パトリシア

  容姿

    十歳か、そこらかの女の子で、細く乾いた感じの髪を三つ編みにしている。
    外見は素直なようだが……。
  性格

    良くも悪くも子供らしい。
    猫のノーラを人質に取られて、オーフェンを襲撃し、クリーオウも狙うなど、行動はあまりに素直である。
    しかし、そろそろボルカンのせりふを疑ってもよい年頃だと思うが……。
    レティシャが甘やかしているのだろうか?
    なお、ときどき容赦ないせりふが飛び出る。
    オーフェンに手のひらほどの石を投げつけたり、石を持って地人に襲いかかったり、《塔》での訓練のせいか、かなり攻撃的な面も
    持つ。
    しばしば死んだフリをするようだ。それでレティシャの追及を逃れられるとは思えないのだが。
  生い立ち/歴史

    本名パトリシア。
    彼女も孤児であるらしい。
    現在はレティシャの元で魔術士見習いとして勉強中。
  技能/特徴

    子供。魔術士見習い。
    せりふを聞いていると十歳とは思えない知識も持っているが、行動はあくまで子供。
  名言集

    p280
    「パットの推測では、それなりに決定的な手段を採用しないかぎり、縁切りは難しい模様──焼きゴテとか」
  その他

    レティシャの家の魔術士見習い。
    なんと、巻末に現われてから再登場した最初の人物。
    物語全体としては、大きな位置付けにはないように思う。
    崩れた場面では重要な役割を果たしているが。

 ティフィス

  容姿

    背中まで伸ばした長髪のせいで、ぱっと見には女のように見える。
    さらに、冗談のような女顔で服装によってはまったく男性とは気づかれないだろう。
    特に痩身であるが、特に体力がないというわけではないようだ。
    年齢は、十四、五というところ。
    その他は典型的な魔術士然としている。
  性格

    あまりつっこんだ描写はないが、典型的な《塔》の魔術士である。
    普通の魔術士のように疑問なくタフレムや《牙の塔》で学び、宮廷魔術士に憧れている。
    しかし、フリップの店で騒ぎを起こしている地人兄弟を家に連れてきたり、マジクにオーフェンに師事することの将来性を忠告した
    り、世話好きのようではある。
  生い立ち/歴史

    彼もどうやら孤児であったようで、現在はレティシャから魔術士としての教育を受けながら、一緒に暮らしている。
    強いて言えば全寮制であるはずの《塔》においてそれだけが普通と違う。
  技能/特徴

    やはり、典型的な魔術士。
    しかし、今まで受けた仕事が落ち葉拾いと下駄箱の修理だけというところから見ると、あまり力は持っていないようにも思える。それ
    とも、これもレティシャの『目立たない』ための苦労のおかげだろうか。
  その他

    レティシャの弟子の一人。
    《塔》の普通の魔術士代表。彼の言動で《塔》の常識を知ることができる。
    そのわりに特徴的な外見は、どんな意味があるのだろうか。

 ウオール・カーレン

  容姿

    老人とはいっても、身長はオーフェンより高い。
    体重はなさそうだが身のこなしはしっかりしているようである。
    着ているのは銀の線が入った漆黒のローブ。
    そして低い、静かな声。
    チャイルドマンのいない《塔》で、最強の暗殺者(スタッバー)だった。
  性格

    野心家であり、力を得るために『ブラウニングの世界書』を狙う。
    特に多くの描写がなされているわけではないが、一言で言い表すならば、やはり「暗殺者」であろう。
    もっとも、最後の激昂するシーンなどらしからぬ部分もあるが、《塔》の教師が自分の教室ごと存在を抹殺されてしまうであろう事を
    考えれば、致し方ないと思われる。
  生い立ち/歴史

    過去が描かれているわけではないが、《塔》最強の暗殺者として、唯一の暗殺者養成教室であるウオール・カーレン教室の教師を
    している。
    彼は、このウオール教室で何人もの危険な暗殺技能者を育てており、ハイドラントは恐らくは、彼が育てた最高の生徒だろう。
  技能/特徴

    《塔》最強の暗殺者であり、暗殺者養成教室の教師。
    だが、当然ではあるが、あらゆる面でチャイルドマンには及ばなかった。
    結果、ウオール・カーレン教室は、チャイルドマン教室の実質3人に敗れ去ることになる。
  名言集

    Vol.6/p.103
    「……あんたは《塔》で最強の暗殺者(スタッバー)だ」
    「このウオール教室で何人もの危険な暗殺技能者を育てている。ハイドラントの奴は、恐らくはあんたが育てた最高の生徒だろう」
    「真に《塔》で最強の暗殺者(スタッバー)であるチャイルドマンが育て上げた、真に最高の生徒である君のようにな」
    Vol.6/p.106
    「それと、誰が最強かと言うことに関しては──わたしは別に、おためごかしを言ったつもりはないんだよ。つまりハイドラントは、君
    に敵わなかったわけだからな。あのときに。心底思ったものだよ──君を、チャイルドマンなどに渡すのではなかったと」
    「だが、できるならばわたしを敵に回さないことを勧めるね。なんにしろ、チャイルドマンは今《塔》にいないわけだからな──」
  その他

   チャイルドマンのいない《塔》における最強の暗殺者。
   そしてその野心から『世界書』を求め、結果フォルテに敗れ去った。
   彼もまた、死せるチャイルドマンに走らされた人間のひとりだったのだろう。

 ハイドラント(ミラン・トラム)

  容姿

    二十歳ほどの男である。奇妙なくらい美しい顔立ちをしているが、それは顔の右半分だけのことで、左半分が醜い、というよりむし
    ろ、顔がない。
    巨大な傷痕に、まぶたも、頬骨も、こそぎ落とされているのだった──左耳も──左側頭には頭髪もない。こめかみの上から顎先
    にまで達する深い傷に埋もれて、左目はほとんどのぞいていない。
    たいてい、顔を隠すマスクを持っている。
  性格

    オーフェンへの態度を見ると、嫉妬深い? しかし、あれだけの仕打ちを受ければ、当然の心理とも思える。たとえ、オーフェンに
    どんな言い分があったとしても。
    また、ウオール教室で学んだだけあって冷徹であり、抵抗できないドラゴン信仰者20人ほどを殺しても、なんとも思わないようだ。
    ウオール教師に対しても極めて冷静で薄情な対応を返す。曰く、「かつての教え子と言うことでしかない俺に、まだ義理が通じてい
    ると思い込んでいるウオールが迂闊なんだよ。俺はお前を殺せれば、それでいい」
  生い立ち/歴史

    ウオール教室に在席していたが、後に《塔》執行部に配属される。
    本名は、ミラン・トラム。
    ハイドラントの名は、15歳頃につけられたらしい。理由は単純で、消火栓(ハイドラント)のようにどこにでもいることかららしい。
    幼い頃、両親を狂信的な一団に責め殺されているとウオールは語った。
  技能/特徴

    魔術の腕では、オーフェンを上回る。
    オーフェンとの戦闘を見ていると、暗殺者としての技能も高いことが分かる。
    もちろん、《塔》執行部に所属している人間が無能なはずはないので、当然のことかもしれないが。
    魔術を使用する際の呪文には特徴があり、以下のような呪文を用いていた。
    ヤスランの棺よ!
    タマンカマの鏡よ!
    プアヌークの魔剣よ!
    シヌークの、泉よ
  名言集

    vol.4/p.85
    「最高執行部直属(エルダー・メンバー)のハイドラントくんがお出迎え? わたしってひょっとして人気者なのかしら」
    「もちろん。《塔》は君たちを歓迎しているんだよ」
    vol.4/p.213 「この傷のことを考えたことがあるか? お前は」「俺はこの五年間、毎日毎日、この傷痕につきまとわれてきたんだよ」
    「そいつぁ、悪かったな」「てめえの傷と同じ──てめえの吐いた一言が、俺を苛んでいたんだ!」
  その他

    一流の魔術士、一流の暗殺者でありながら、けっきょくキリランシェロにこだわり、敗れ去った。
    彼の性格に問題がないわけではないが、けっきょく誰かが言わねばならなかったせりふを口にしたがために、顔の半分と、キリラン
    シェロに復讐すること以外の目標を失った。
    王都へ赴き、キリランシェロを連れ帰す役目が彼に与えられたのでなかったなら……。無意味な仮定ではあるが。

 ヴィンビ・ストットアウル

  容姿

    すらっと背が高く、かなりの美男ではある。
    ただの魔術士見習いの立場だったので、黒のローブすら身に着けてはいない。それでも黒を基調としたスタイルで、シャツの下に
    着ているハイネックの下着(?)だけが白い。右手のリング・フィンガーに安っぽい髑髏の指輪をしていたが、不思議となぜか、似
    合って見えた。白いハイネックの襟元に、ピンで秘書の印を留めてある。
    年齢は、オーフェンと同じほど。
    静かな、というか寝言のような声音である。
  性格

    作品中に出てきた性格は攻撃的で、一種の狂気を感じさせる。
    独特なファッションセンスもさる事ながら、「不理解、即、排除」といった思考や、失った腕をクリーオウの腕で贖おうとする点などか
    らも、ある意味狂気を感じる。
    また、敵としてのクリーオウを見て「遊びにも使えやしない」と思ったということからも、性格を想像できようというものだ。
  生い立ち/歴史

    ヴィンビ・ストットアウルという名も、最近、名乗っているだけのようだ。本名は二年前に拷問されたとき、忘れてしまったと言う。
    七年前にトトカンタにある教室を素行不良で放校になっている。そして、あてもなくぶらついている時に、ウオール・カーレンと接触
    を持ったことがあったらしい。
    《塔》の中では、チャイルドマン教室の秘書としての立場であった。
    クリーオウの一撃により、ヴィンビ・ストットアウルは、その名前も忘れてしまうことになる。
  技能/特徴

    ウオール教師に雇われるほどであるので、魔術士として、暗殺者としての技能は十分一流であると考えられる。(フォルテの予想)
    少なくとも、ウォール教室の暗殺者たちを特別恐れているようには思えなかった。
    魔術の呪文は単純。「消えろ」「照らせ」「溶けろ」「治れ」など。
  名言集

    vol.6/p.219
    《俺と、スエインが屋根の穴から飛び込んだ──その直後にこの爆発だ。ミランの仕業だろう──奴の呪文が聞こえた。警備部は
    感づいたな。ま、騒ぎに乗じてここを抜け出すのは難しくはない。俺ひとりなら……》
    《妙だな。三人いたはずだ。マジクとかいうのはどこに消えた? スエインもだ。くそ、残ったのがこんなのじゃ、遊びにも使えやしな
    い──》
  その他

    ウオール教室の雇われ暗殺者。
    けっきょく、色物じみたファッションセンスと、クリーオウに殴られてまた名前を忘れた、という点ばかり目立って、彼らしさがあまり見
    えないのが残念だ。

 スイエン

  容姿

    体格は少年のように小さい。
    声はかなり低く、オーフェンは成人していると判断した。
  性格

    特に記述があるわけではないが、命令遂行のためには余計な発言はしない、命に代えても師に「世界書」を届ける、といっところ
    を見ても、プロの暗殺者にふさわしい性格であったようだ。
  生い立ち/歴史/技能/特徴

    ウオール教室の暗殺者。
    それ以外は、特に描写されていない。
    ハイドラントと共にレティシャを追いつめた実力からも、ウオール教室の一員の名に恥じないだけの実力があると思える。
    ティッシの家に潜入し、後に再来してクリーオウに傷を負わせてティッシをおびき出す。迷宮街路にてハイドラントと共にティッシの
    指を落とし、追い詰めるもアザリーの出現により逃走(?)。
    《塔》ではマジクを追い詰めるが、フォルテの魔術の傷により、本をウオール教師に届けた後、死亡。
  名言集

    vol.6/p.231
    「お師様は──ぼくを信用して、それを持たせてくれたんだ!」
    「我が師は──俺を信用して、その奪取を命じたのだがね」
    vol.5/p.234
    「まあ、いい。死んでしまえば、どんな才能でも可愛いものだ」
  その他

    「愛しいクリちゃんを《塔》に連れていってあげてね仮面2号」そのひと。
    結構渋い役柄だったのだが、どーもいまいち抜けた印象があるのは、この第一印象のせいだろう。

 エバーラスティン家

  容姿

    エキントラに関しては、記述なし。
    ティシティニーは、年齢のわかりずらい、小柄な中年の女性。
    マリアベルはかなりの美女で、クリーオウのやや変形した相似形のような女性。
  性格

    エキントラの性格は、その遺言にのみ覗き見ることができるが、収集癖があったこともわかっている。もっとも、チャイルドマンから託
    されたものを目立たなくするためのカモフラージュだったのかもしれないが、それよりは、チャイルドマンが彼の収集癖を利用した
    と考える方が自然だろう。
    ティシティニーも、捕らえどころのない性格をしているが、少々のことには動じないのはまちがいなさそうだ。また、さまざまなところ
    から上品さがうかがえる。この作品中、数少ない『母親』。
    マリアベルは、結局最後まで一言しかしゃべらないが、オーフェンに好意を持っていたのは間違いないだろう。また、後書きにも
    登場するが、3巻の例を見ても、これがそのままマリアベルの性格とも考えがたい。もっとも、クリーオウの姉であることも忘れては
    行けない要素なので、意外にあんなものかもしれない。
  生い立ち/歴史

    エバーラスティン家は、このトトカンタ市でも有数、とまではいかなくともかなりの名家ではある。
    先代の当主であるエキントラに先立たれ、ティシティニーが切り盛りをする現在では、商取引からは手を引いて過去の財産を切り
    売りして生計を立てている。
    エバーラスティン家は、数代前に貴族と親族関係を持った。
    エバーラスティン家にほぼ押しかける形で輿入れしたその令嬢は、死ぬまで自分の姓を明かさなかった。
    エキントラはチャイルドマンと友人であった。
    また、マリアベルはクリーオウとは違い、山手の学校に通ったようである。
  技能/特徴

    エキントラは、チャイルドマンを私的な暗殺者として雇っていたこともある。
    また、チャイルドマンは《塔》に置いたままにするには多少危険だと判断されたものを、しばしばエキントラに預けた。
    ティシティニー、マリアベルには、上品な女性であろうこと以外に、特に描写なし。
  名言集

    p19
    「お互いを正しく理解しようとする者どうしは、しばしば正面衝突するもんだって、昔お父様が言ってたわ
    「あ──そうそう。楽しい人生っていうのは、つまるところ楽しいやっかいごとのことだ、とも言ってたかな」
    p20
    「人の咎を証明するのには一生かかる──証明した瞬間、その相手に殺されることもしばしばあるしな、て言った三週間後に、お
    父様は死んじゃったのよね」
    p53
    「老人は若者の失敗を許してはくれない。それは嫉妬というのだ──BYお父様・死亡二時間前」
    p54
    「語るのをやめたとき、誰もが死ぬのだ──死去直前」
    「唯一、有意義な死があるとしたら、それは遺言だけだ──これは、お医者に死を宣告された直後ね」
    p263
    「もち、やるなら全力よ。お父様も、死ぬほど頑張れば死ぬことはないのだ、て言いながら泡吹いて卒倒しちゃったのが病気の発
    端だったし。よく分かんないけど」
  その他

    クリーオウの家族であるからして、誰もが一筋縄では語れない。
    それぞれ、味があるのだが、主人公達がトトカンタへ帰ったときが語られることはないと思われるので、再登場は期待薄だろう。
    特に、マリアベルなどは再登場しないことが約束されているので、非常に残念である。
  関連項目

 ・ クリーオウ

 チャイルドマン教室

  《塔》の抱える問題

    《塔》は、宮廷魔術士団の《十三使徒》に何百人もの魔術士を輩出している。しかし《塔》は、宮廷に対してあまりにも多くの魔術士
    を排出しすぎた。優秀な魔術士が毎年何人も宮廷に吸い上げられていくので、《十三使徒》の力は増す一方、逆に《塔》は衰退す
    るばかりだった。
    決定的だったのは、《十三使徒》にプルートーが現れたことだ。
    宮廷魔術士たちの長、王都の魔人プルートーは、《塔》の出身者ではない。《十三使徒》となったかつての《塔》出身者が、自分た
    ちでひとりの黒魔術士を教育した。それが、持って生まれた才能とあいまって、とてつもなく強力な黒魔術士を生み出したのだ。
    あわてたのが《塔》の長老たちだ。このままでは《塔》の存在意義を失うことになりかねない。そこで、彼らは増大する《十三使徒》に
    対抗するために、ひとりの黒魔術士を持ち上げた。なぜかプルートーと互角か、あるいはそれ以上の能力を持っていた。チャイ
    ルドマンと名乗る暗殺者、彼を《塔》にスカウトしたのだ。そして《塔》の才能ある子供を弟子にとらせて、叶うならば師と同等の魔術士
    を量産しようとした。その教室は、チャイルドマン教室と呼ばれた。
  チャイルドマン教室のメンバー

    ただ、長老たちの誤算は、チャイルドマンと言う人間の力を見誤っていたことにある。チャイルドマン教師は優秀すぎたのだ。生徒
    たちの誰ひとりとして、師に追いつくことはできなかった。
    そこで生徒たちはひとつずつ別の技能を習得することになった。すべてをひとりで受け継ぐことは不可能だったからだ。
    チャイルドマン教室の生徒は全部で七人いたから、七種類ということになる。
    だが、チャイルドマンはまるで生徒たちの欠点をそれぞれ最初から見抜いていて、それに相反するような技能を教えていったかの
    ような教え方をしている。
       ○フォルテ・パッキンガム
         最年長のフォルテ・パッキンガム教室長は、チャイルドマン・ネットワークと呼ばれる特殊な情報網の管理を受け継いだ。欠
         点は、このネットワークのもたらす膨大な情報量を捌くだけの冷静さがない。
       ○アザリー
         天魔の魔女と呼ばれ教室内では最強の魔力を持っていたといわれる。天人の遺産とその使用法を受け継いだ。
       ○レティシャ・マクレディ
         死の絶叫(キーニング)と呼ばれ、戦闘術、それも防御的なものを受け継ぐ。欠点は、戦士としては致命的に臆病であること。
       ○コルゴン
         “ナイトノッカー”と呼ばれたが、他には描写なし。ひょっとして、13巻に登場していた?
       ○コミクロン
         医療技術を専門にしていた。既に死亡。《牙の塔》編では、お下げに (コルゴンのおさがり?) のローブを着て、その上に白
         衣を羽織った姿で登場。機械にかぶれているようではあるが……。
       ○ハーティア
         チャイルドマン・ネットワークの補佐の役割を受け持っている。欠点は、腹心でいるには顕示欲が強すぎる点。
       ○キリランシェロ
         “鋼の後継(サクセサー・オブ・レザー・エッジ)”と呼ばれ、チャイルドマンのすべての戦闘技術と暗殺術を受け継いだ。欠点
         は、人が殺せないこと。
    なお、現在はフォルテ・パッキンガムが教師代理として教室を運営。
  チャイルドマン教室の秘奥

       ○空間転移の魔術
         一般の魔術士には絶対に公開していない。《十三使徒》にすら、これを使える者はいないと言う。
       ○物質の崩壊
         オーフェンの『我が左手に冥府の像』にて用いられる。オーフェンの呟きによると、これがチャイルドマン教師の第一の秘奥
         らしい。
  関連項目

 ・ 魔術師
 ・ 黒魔術
 ・ タフレム市

 ラポワント・ソリュード

  容姿

    三十歳ほどの男。
    黒く、動きのない瞳と冷たい目を持つ。(突然の招かれざる訪問者のせいかもしれないが)
    背が高く、がっしりした体格は、鍛え上げられたものというより、年相応に太りはじめたためだというように見える。
    いつも、教師長の特別な神官服を着ている。当然のように白く、貫頭衣に近いものだがもっと複雑な造りになっている。
  性格

    弟サルアに言わせれば「ホンモノの説教屋」
    突然現れた魔術士とその仲間に対しても、落ち着いて対応している。
    教主やクオ達相手に腹芸を演じあうなど、組織の上層にいる人間としても優秀のようだ。
  生い立ち/歴史

    代々教師長を勤めるソリュード家に生まれ、家督を継ぎ、教師長の地位にいた。
    代々のソリュード家の人間の例に漏れず、数々の輝かしい業績を残していたようだ。
    オーフェン達が《詩聖の間》に侵入した事件の中サルアをかばい、死の教師カーロッタに処刑される。
  技能/特徴

    剣技はサルア以上だと言い、権謀に長ける一面も見せる。
    また、教会の滅ぼすべき相手である魔術士に対しても冷静に話をし、その立場について話のできる人物だった。
    教会に対する忠節は、狂的ではなくとも十分に強いものに思えた。
    それでもなお、教義や教主に逆らってまでサルアをかばったのは意外に思えるが、血を大事にする聖都では、却って自然なこと
    なのかもしれない。
  名言集

    p150
    「なぜ、来たのかね?」
    「え?」
     静かに疑問をぶつけられて、マジクは意味が分からずに聞き返していた。ラポワントはやや鷹揚な仕草で両手を小さく広げると、
    続けた。
    「この聖都のことは知っていたのだろう?――我々が、君たちの訪問を望まないことも知っていたはずだね? だったら、あえて
    我々の平穏を乱すのは、マナー違反なのではないかな」
    p157
    「死の教師の追走は“処刑”じゃなくて“審問”さ。つまり、クオかカーロッタの持っている剣をこの身に受けるまでは、俺はあくまで
    被疑者のままってわけだ。神官は被疑者となっても、神官としての権限は失わないと法律に書いてある……」
    「屁理屈だ」
    「そうだよ。なにも兄貴の専売特許ってわけじゃない」
  その他

    教会に責任ある立場でありながら、弟をかばい、死んで行ったラポワント。
    「家」という形より、生きている弟を選んだ彼の生き様は納得できるが、それだけに哀しい最期であった。
    キムラック随一のソリュード家を継ぐものも、もう現れないだろう。
    これからは、サルアも姓を失って生きていくのだろう。

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